2/19/2008

音の影



朝から小雨が降っていて
うちの猫はずーっと寝ています。
わたしも今日はお休み。
最近はまっている中国式のマッサージにいってこようかな。
クコの実のお茶を出してくれ
熱い漢方薬のお湯に足を浸してから
足裏と全身をマッサージしてくれます。
ベトナム人の美容師さんにおしえてもらいました。

昨年亡くなった指揮者・岩城宏之さんの「音の影」。
毎日おフロで一編ずつ読んでいたのが読みおわりました。
数年前に週刊誌に連載されていたらしいけど
文庫になったので初めて読みました。
彼の書いたものは、いつもどれも、おもしろい。
偉大な指揮者なのにそれ以前にふつうのオジサンとしておもしろい。
これからいろいろなクラシック音楽を聴いてみようかなと思っている
ビギナーの人にもおすすめです。

とくに興味深かったのは
戦後ドイツの「音楽の戦犯」とされてきたリストの『前奏曲』と
ワーグナーについて。
リストの『前奏曲』はナチスのラジオ局のテーマ音楽だったので、
これを聴くとドイツ人の胸には戦争のいろんな想いがよみがえってしまい
戦争犯罪曲として長いこと演奏禁止とされていたという。
それをそろそろ解禁にしようよ、ということになって
「ドイツ人の指揮ではちょっとまだ抵抗が・・」
「じゃあ、外国人であるイワキに振ってもらおう」
ということになり、こうして岩城さんが戦後初めて
ドイツでこの曲を指揮したそうです。

同じ戦争犯罪曲でも、ヒトラーが愛したことで有名な
ワーグナーはちょっと違っていて
なにしろドイツ人にとってワーグナーは特別。
ハンガリー人のリストは追放されたのに、
ドイツ人のワーグナーは禁止にはならなかったそう。
ただ、ホールのこけら落としのようなおめでたい儀式でのワーグナーは
今でも自粛されているとか。

ところで、小泉元首相が2003年にヨーロッパを訪問したときに
バイロイトでワーグナーのオペラを観たいと言って
ドイツの首相と一緒に鑑賞しました。
あのとき「公用でオペラなんか見に行って」と批判されたりもしましたが、
岩城さんの文を読んでみたら目からウロコ;

「小泉さんのバイロイト行きは単純なできごとだったのではない。
第二次世界大戦後、ドイツの首相が
バイロイト音楽祭にいったのは初めてである。
小泉さんのバイロイト行き希望は、
ドイツ首相の『靖国』(ナチス―ヒトラー)解禁を助けた。*注
日本の記者たちはその真意を見破れなかった。」

そうだったのか。ちっとも知らなかった。
すごい。小泉さん!
そしてトボけたオジサンのふりしながら
ここまで見抜いている岩城さんがやっぱりすごい。


*注・バイロイト音楽祭はワーグナーのための祭典で
ヒトラーも毎年通ってました。